要点:フローティングポッドとオープンなフロートルーム、どちらの効果が上だと証明されたわけではありません。両者を直接比べた研究はまだないのです。ポッドは繭に包まれるような感覚、オープンなルームは開放感があり、狭い場所が苦手な方にも向いています。それよりも大切なのは水そのもの。比重、温度、ろ過、消毒、そして空気、暗さ、静けさです。 3世代のタンクを自分たちで作ってきたŌmniチームの考えはこうです。部屋の防音と遮光がしっかりしていれば、息苦しさがずっと少なく、部屋いっぱいの空気があるオープンなフロートルームのほうが、多くの人にとってより良い選択です。
このガイドは、ホーチミン市タオディエン(Thảo Điền)にある Ōmni Space のチームが書きました。私たちは2017年にベトナム初のフローティング施設(Float Vietnam、ハノイ)を開き、これまでクローズドタンク、密閉型のキャビン、そして現在のオープンプールを運営してきました。サイゴンでフローティング施設を選ぼうとしている旅行者や在住の方に向けて、それぞれの違い、研究でわかっていること、予約前に確認したいことをまとめています。フローティングが初めての方は、まずフロートセラピーとはをご覧ください。本記事は一般的な情報であり、医療アドバイスではありません。

ポッド、キャビン、オープンルーム:言葉の意味
アメリカとカナダで使われている業界基準 North American Float Tank Standard(第3版、2025年5月改訂、Floatation Tank Association 発行)では、これらはすべて同じものとして扱われます。この基準はフロートタンクを「a.k.a. Float Room/Pod/Spa/Chamber(フロートルーム/ポッド/スパ/チェンバーとも呼ばれる)」と定義し、比重1.23〜1.30のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)溶液を約33.3〜35.6 °C(92〜96 °F)に保ち、光と音を抑えた空間に置いた浴槽としています。比重とは、真水と比べた水の重さ(密度)のこと。1.23以上あれば、力を入れなくても体が自然に浮きます。
つまり形はデザインの違いであって、別のセラピーではありません。大きく分けると、次の3タイプがあります。
- フローティングポッド:卵形やカプセル形が多い一体成形のシェルで、蓋を持ち上げて入り、上から閉じます。シェルが光と音の大部分を遮りますが、頭上の空間は低めです。
- 密閉型タンク/キャビン:ドアから入る箱型のタンク。たいてい座ったり膝立ちしたりできる高さがあります。
- オープンなフロートルーム/オープンプール:部屋そのものが暗く静かになるよう造られ、その中に浅いプールがあるタイプ。蓋はなく、いつでも立ち上がって外に出られます。

小さな歴史:直立型タンクからサマディ(Samadhi)タンク、そしてオープンルームへ
フローティングは、はじめからスパのメニューだったわけではありません。1950年代、米国国立精神衛生研究所(NIMH)の Jay Shurley 博士と John C. Lilly 博士は、外からの感覚刺激がないとき脳がどう反応するかを研究しました。参加者は眠りに落ちるのではなく、意識をはっきり保ったままでした。初期の設計では、感覚を遮るためにさまざまなマスクが使われました。
全身を水に浸す最初のタンクがつくられたのは1957年、オクラホマシティの退役軍人局(Veterans Administration)病院にあった Shurley 博士の研究室でした。このタンクは縦型で、参加者は水の中に垂直に浸かり、呼吸用チューブにつながった光を通さないヘルメットをかぶりました。このヘルメットのため参加者はごくわずかで、その多くは訓練中の NASA 宇宙飛行士でした(Feinstein ら、2018)。

1970年代、Glenn Perry は John Lilly と協力して、ヘルメットのいらない水平型タンクを発明しました。エプソムソルトをたっぷり溶かした浅い水に仰向けになり、顔は水面の上に出ています。Glenn Perry と Lee Perry 夫妻の Samadhi Tank Co. は、1972年からフロートタンクを手がけているとしています。クラシックなサマディタンクは、蓋や扉のついた閉じた水平の箱。今日のポッドやキャビンの祖先です。
その後、上の写真の i-sopod のような一体成形のポッドが登場し、最近ではオープンルームやオープンプールも生まれました。理由のひとつは、閉所の圧迫感をやわらげることです。下の研究の章で触れるように、LIBR のチームもまさにこの理由でオープンプールをつくりました。
フローティングポッドとフロートルーム:メリットとデメリット
どちらのデザインにも、得られる心地よさと引き換えになるものがあります。施設によって差が大きいので、呼び名よりも後述のチェックリストのほうが大切です。
| 項目 | クラシックなサマディ式タンク | フローティングポッド/密閉型タンク | オープンなフロートルーム |
|---|---|---|---|
| 感覚 | 閉じた箱の中。とてもプライベート | ぴったり包まれる繭のような感覚。これが大好きという人も | ゆったり広い。頭上に蓋がある感じがない |
| 出入り | 蓋か扉を開け、縁をまたいで入る | 縁をまたいで入り、蓋を下ろすかドアを閉める | 歩いて入り、座って、仰向けに。いつでも立ち上がれる |
| 暗さと静けさ | 箱がその多くを担う | シェルがその多くを担う | 部屋の造り次第:ドア、壁、光の漏れ |
| 水面上の空気 | 空気の量が少なく、換気が重要 | 空気の量が少ないため、換気の設計が重要 | 部屋全体の空気がある。それでも湿気のため換気は必要 |
| 背の高い方・体格の大きい方 | 天井が低く、窮屈に感じることも | 特に頭側が窮屈に感じることも | たいてい手足を伸ばせる余裕がある |
| カップル | たいてい1台に1人 | ほぼ必ず1台に1人 | 2人用サイズのプールがある部屋も |

研究でわかっていること
正直に言うと、ポッドとオープンルームを直接比べた研究は見つかりませんでした。研究者たちはさまざまなデザインを使っており、その結果からわかるのはフローティング全般のことで、どちらの形が優れているかではありません。
- オープンプール、不安を抱える参加者(Feinstein et al., 2018)。アメリカの Laureate Institute for Brain Research(LIBR)で、不安障害やストレス関連障害のある50人が、防音・遮光された部屋にある直径約2.4 m(8 ft)の丸いオープンプールで1回フローティングを行いました。研究チームは「閉所恐怖感を減らすため」に通常の囲いを取り除いたと述べています。終了後、不安は大きく下がりましたが、対照群は設けられていませんでした。
- 参加者が選べた研究(Garland et al., 2024)。不安とうつを抱える成人75人を対象にした安全性のランダム化試験で、同じグループは、オープンな円形プールと密閉型の円形プールのどちらかを参加者が選べるようにしました。ほとんどの人が6回のセッションを終え、重い有害事象は記録されませんでした。
- ポッド、ときに蓋を開けて(Loose et al., 2021)。慢性疼痛のある99人を対象としたドイツの試験では、市販のフローティングポッドが使われました。13人が蓋を開けたまま浮きたいと希望しましたが、1人を除く全員が開けたのは5 cm未満でした。なお、主要評価項目である痛みについて、フローティング群はプラセボ群を上回る結果を出せませんでした。
- 密閉型タンク(スウェーデン、Karlstad University)。初期のフローティング研究の多くを手がけたこのスウェーデンのグループは、ドアから入る密閉型タンクを使っていました。65人を対象にした2014年のパイロット試験では、タンクの大きさは2.6 × 1.65 × 1.33 mでした。

まとめると、不安を抱える人を対象にした研究者はあえてオープンプールを選び、ポッドの利用者の中には蓋を少し開けておく人もいて、どのデザインでもフローティングはよく受け入れられていました。これはヒントであって、証明ではありません。私たちが研究をどう評価しているかは、Ōmni エビデンス評価のページで詳しく紹介しています。
Ōmni エビデンス評価:初期段階のエビデンス(「オープンルームのほうが、狭い場所が怖い人には入りやすい」)。研究者はこの理由でオープンプールを選び、蓋を開けたままにしたポッド利用者もいましたが、これを直接測った試験はまだありません。
Ōmni エビデンス評価:良質なエビデンスはまだない(「ポッドのほうがオープンルームより効果が高い」、またはその逆)。2つのデザインを直接比べた研究はありません。
あなたに合うのはどちら?
- 狭い場所やエレベーターが苦手な方:オープンルームのほうが、たいていやさしいスタートになります。上から何かが閉じることはありません。
- 背が高い方、肩幅の広い方:タンク内部の長さと頭上の高さを確認しましょう。オープンプールのほうが、手足を伸ばせる余裕があることが多いです。
- カップルで来る方:2人用サイズのプールがある部屋を探すか、隣り合う2部屋を予約しましょう。ふたりで浮かぶことについてもどうぞ。
- 初めてのフローティングの方:施設がきちんと説明してくれるなら、どちらのタイプでも大丈夫です。小さな明かりをつけたままにできるか、いつでも出られるかを確認しましょう。そのほかのことは初めてのフローティングガイドにまとめています。
- 繭に包まれる感覚が好きな方:きちんと運営されたポッドは、深いプライベート感と包まれる安心感があります。それも立派な選ぶ理由です。

チェックリスト:サイゴンのフローティング施設に聞きたいこと
形がどうであれ、「ポッド」や「ルーム」という言葉より、次の質問のほうが多くを教えてくれます。良い施設なら、喜んで答えてくれるはずです。
- 水の比重:比重を1.23〜1.30に保っていますか?どのくらいの頻度で測っていますか?
- 温度:水は肌の温度に近い、約33.3〜35.6 °Cに保たれていますか?
- ろ過:お客さまとお客さまの間に、全水量を何回ろ過していますか?北米の基準では、貯水タンクのない設備の場合、少なくとも3回の「ターンオーバー」(全水量がフィルターを1周すること)を求め、4回を推奨しています。
- 消毒:何を使っていますか?同じ基準では、主な消毒システムとしてUV、オゾン、またはその両方を義務づけています。
- 空気:タンクや部屋に換気があり、空気がこもらず新鮮に保たれていますか?
- 暗さと静けさ:完全に真っ暗にできますか?照明を自分で調整できますか?
- 快適さ:ネックピロー、耳栓、専用のシャワーはありますか?
- 健康チェック:フローティングの前に、健康状態について確認してくれますか?

私たちがクローズドタンクからオープンプールに移った理由
私たち自身の歩みも、この議論と重なります。ハノイの Float Vietnam(2017年)では、自作のサマディ(Samadhi)式クローズドタンクを使っていました。Float Saigon(2019年)では、自作の密閉型キャビンを使いました。そして2025年にタオディエンで Ōmni Space を開いたとき、防音・遮光のガラス扉の奥にオープンプールを設けることにしました。いちばんの理由は、閉じた空間が落ち着かない方にも、もっと気軽に浮かんでいただくためです。


透明性のために、チェックリストへの私たちの答えをお伝えします。各プールは1.2 × 2.4 m、水深は約25 cm(約720リットル)で、エプソムソルトは500 kg。シングルルームは長方形のプール、カップルルームは2人用の正方形のプールです。毎時16.8 m³のポンプが毎回のフローティング後に15分間稼働し(全水量で5回を超えるターンオーバー)、さらに24時間、2時間ごとに10分間稼働します。消毒にはUV、過酸化水素、オゾンを使い、スパ用の酵素も加えています。各部屋は換気されており、照明はお客さまご自身で調整でき、Halo のネックピローもご用意。すべてのお客さまに健康に関する問診票をご記入いただいています。

安全について
フローティングはやさしい体験ですが、誰にとってもいつでも向いているわけではありません。どのタンクでも、開いた傷、治りきっていないタトゥーやピアス、人にうつる皮膚の病気がある場合、過去12時間以内にお酒や薬物を摂取した場合、または生理中の場合は、フローティングを控えてください。てんかんやけいれん発作の既往、失神、心臓病、腎臓病、コントロールできていない糖尿病がある方は、まず医師に相談してください。妊娠中の方は医師に相談し、予約の際に施設へお伝えください。Ōmni では妊娠36週以降の方のフローティングはお受けしていません。健康に関する問診票は、すべての項目を正直にご記入ください。フローティングはいつでも途中で終えることができます。
サイゴンで体験するなら
ホーチミン市にはフローティング施設が複数あり、デザインもそれぞれ違います。どのタイプのタンクを使っているかを聞き、チェックリストを確認してみてください。オープンプールを試してみたい方は、Ōmni Space へどうぞ。場所は 16C Quốc Hương, Thảo Điền、毎日9:00〜21:00営業です(最終セッションは20:00開始)。シングルのフローティングは60分1,500,000 VNDから、カップルのフローティングは60分2,200,000 VNDからです。サービスと料金の一覧やアクセスもご覧ください。旅行中の方は、旅行者向けガイドやサイゴン・ウェルネスマップで、ほかの予定も立てられます。ベトナム語を読める方は、姉妹サイトの Float Vietnam(ベトナム語)で、このテーマのより詳しい分析もご覧いただけます。
よくある質問
フローティングポッドはフロートルームより優れていますか?
それを示した研究はありません。心地よさで選び、そのうえで水質、空気、暗さ、静けさで施設を判断しましょう。 研究で示された結論ではありませんが、密閉型タンク、キャビン、オープンプールのすべてを運営してきた私たちのはっきりした考えです。部屋の防音と遮光がきちんとしていれば、多くの人にとってはオープンなフロートルームのほうが良い選択です。暗さや静けさは変わらず、空気と空間にゆとりがあるので、ずっと息苦しさが少なく感じられます。
閉所恐怖症でもフローティングできますか?
できる方はたくさんいます。特に、上から何も閉じないオープンルームなら安心です。最初はやわらかな明かりをつけておきましょう。いつでも立ち上がって出ることができます。
オープンなフロートルームは、ポッドと同じくらい暗く静かですか?
そうなり得ます。ポッドではシェルが光と音を遮りますが、オープンルームではドア、壁、すき間の密閉がその役割を担います。完全に真っ暗にできるかを確認しましょう。
カップルで一緒に浮かべますか?
施設に2人用サイズのプールがある場合に限ります。ポッドはほぼ必ず1人用です。ない場合は、同じ時間に2部屋を予約しましょう。
水がきれいかどうかは、どうすればわかりますか?
お客さまの間に水を何回ろ過しているか(北米の最低基準は全水量で3回のターンオーバー)、どんな消毒を使っているか(UV、オゾン、またはその両方)、塩の比重をどのくらいの頻度で確認しているかを聞いてみましょう。
最初のフロートタンクはどんなものでしたか?
立ったまま入る縦型でした。1957年にオクラホマシティの退役軍人局病院でつくられた最初の全身浸水型タンクでは、参加者が水中に垂直に浸かり、呼吸用チューブにつながった不透明なヘルメットをかぶりました。エプソムソルトの水に仰向けで浮かぶ方式は、1970年代に生まれました。
参考文献
- Floatation Tank Association. North American Float Tank Standard, Version 3, updated May 2025.
- Feinstein JS, Khalsa SS, Yeh HW et al. Examining the short-term anxiolytic and antidepressant effect of Floatation-REST. PLoS One, 2018.
- Garland MM, Wilson R, Thompson WK et al. A randomized controlled safety and feasibility trial of floatation-REST in anxious and depressed individuals. PLoS One, 2024.
- Loose LF, Manuel J, Karst M, Schmidt LK, Beissner F. Flotation Restricted Environmental Stimulation Therapy for Chronic Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open, 2021.
- Kjellgren A, Westman J. Beneficial effects of treatment with sensory isolation in flotation-tank as a preventive health-care intervention: a randomized controlled pilot trial. BMC Complementary and Alternative Medicine, 2014.
- Samadhi Tank Co. About (Glenn Perry). Accessed October 2026.
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